HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-14


「・・光さん。」

(現れたのが光だったので、夏樹は、どこかほっとし。
わずかに、期待していた自分に気づき。 ため息をついた。)

『誰が来ることを、期待していたんだろう・・。』

『これからそうすると。 皆で決めたことを告げれば、

間違いなく。 FOTを出て行けと・・。』

『いや、国に突き出されても、おかしくはないのに・・。』

(光の方へ向き直りながら。 夏樹は、手の中に、大きな。 冷やりとする時の欠片の
感触を確かめ。 心を決めた。)

トッ

「夏樹・・。」

「ここで、何してる?」

(飾らない、無造作なシンプルな服を来た光は。 長い足で、
辺りに散らばった、瓦礫を避けながら。 ざっと、四方に張り巡らされた結界を見ると。
あきれた顔で、夏樹を見た。)

(淡い光が差すような、薄い黄味がかった、軽い短い髪が。 わずかにしかめた瞳の上で
揺れる。)

「久しぶりだね、光さん。」

「・・。 久しぶりだじゃないだろう。 俺に、いや。 メンバーに、

一言もなしに。 単独行動?」

「街に出て、自信がついたから・・。 にしては、おかしなことしてるな。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ