HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-17
「それに、欠片は、このままでは使えないんだ。」
(聖も知らない、夏樹たちだけが知っている。 何か、欠片に関わる重大なことがあると。
光は知り、首を振った。)
「お前は、わかってないよ。」
「たった一つ。 この前の欠片が戻らなかったことが。 どんなに、聖を揺るがしたか。」
「FOTを抜けるつもりなのか?」
(光は、なんとか夏樹をなだめたかったが。 何と言おうと、一度決めた夏樹の意志が
動かないことは。 小さなころから見てきて、よく知っていた。)
『聖に良く似て・・。 頑固だよ・・。 ったく。』
『馬鹿親子が・・。』
「これが重なれば。 国の、機密部隊が動きだしかねない。」
「石垣は、その機会をずっとねらってた。」
「娘をあんな風にした、能力者を。 能力者という存在を、一人でも減らしたい。」
「青葉がお前を気に入っているものだから、よけい気に入らないのさっ。」
(光は夏樹のそばに近づき、わざと夏樹を指さしながら。 強調した。)
「お前は・・、俺に嘘をつかせるんだ?」
(夏樹は静かに笑っていた。)
「・・・っ、そんな顔するなよっ。」
(光は夏樹の顔を両手で挟んだ。 白い頬は氷の様に冷たかったが、
その瞳は、優しげに笑っていた。)
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』