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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-24


「行くわよっ。」

(静乃は、菖蒲の手をつかみ。 木陰の下から連れだした。)

「///あっ、静乃さん・・っ。 ですがっ、人目もありますし。」

「生徒さんも多くいらっしゃいますから・・! その・・。」

(たじろぐ菖蒲を余所に。 静乃はうきうきと振り返り。
爪先立って、背の高い菖蒲の頬に、顔を寄せ囁いた。)

「夏休みですからね。 少しくらい、羽目をはずしてもいいじゃない?」

『///!』

カランッ コロンッ

(言葉にならない菖蒲の手を引き。 二人は、賑やかになり始めた人混みの中へ。
オレンジ色の温かな提灯の明かりに照らされる。 風見神社門前通りへ。
両脇に連なる、活気づく出店の賑わいの中へ歩き出した。)

***

(門前通り、手前の。 赤い鳥居の前に紫苑は立っていた。
待ちきれないピュアを先頭に。 皆、近くの屋台を見に行ってしまっていた。)

(好き勝手人混みの中を行ってしまうピュアから目を離さないようにすることで、
ソラは精一杯で。 紫苑も、せっかく会いたい人に会えた友達を。 待たせたくなくて、
一人そこで自分が待つからと。 皆を近くに送りだした。)

「もうすぐ1時間近く経つな。」

「・・そうね。」

(賑やかな店を見て回りながらも、実は皆も気になり、時折紫苑の方を振り返り。



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