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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-25


仙崎は腕時計を見て。 佐織はため息をついて頷いた。)

「わたし、紫苑呼んで来るね・・。 あ、あれっ。」

(佐織が諦め、紫苑を呼び寄せようとした時だった。 門前通りに続く、鳥居への
階段をのぼってくる人影に。 佐織の目は輝き。
声にならない声をあげ。 隣の店に顔を向けていたソラを叩いた。)

『!///』

「ちょっと、見てっ!」

「ん? んおっ。」

(ソラは振り向き、佐織と並んで。 その光景を見た。)

「!」

「!///」

「「・・よしっ。」」

(二人は向き合って、満面の笑みで頷いた。)

***

(仄かな赤い提灯の明かりに。 浮かび上がる。 夜風のせいだろうか。
活気づく夏の夜の暑さの中で。 ふと、冷たさを感じて、紫苑は鳥居の傍から、
続く階段へ、視線を移した。)

(不思議な冷たい気配とともに、紺色の浴衣から覗く白い足が。
ゆっくりと、下駄の音を鳴らし石造りの階段を上ってくる。)

「あ・・っ///」

(紫苑は、にわかに信じられずに。 瞬きをして、大きな瞳で。 その人を見た。)



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