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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-27


『やめてっ・・。』

(紫苑は魔力に抵抗しようとし。 僅かに身体を動かした。)

「大丈夫・・?」

「少し離れて歩こう。」

「ソラたちの顔を見たら。 すぐに僕は帰るから・・。」

(夏樹は、自分が発する気配に。 紫苑がおびえているのではないかと思い、
紫苑からわずかに距離を取り。 悲しげな目をすると。 視線を逸らした。)

ぎゅっ・・

『?』

(夏樹を傷つけた気がして、紫苑はどうしていいか分からなかった。)

(思わず、紺色の浴衣の腕をつかみ、そっと首を振った。)

「ん?」

「ううんっ///」

(紫苑の瞳は、涙ぐんでいた。 夏樹は戸惑いながら。 ぴたっと、
自分の腕に貼り付いてしまった紫苑を。 瞬き見つめた。)

「えっと・・。 わかった。」

「僕も行くから。」

(涙の気配を察し。 夏樹はやむなく決断した。 紫苑が今にも泣きそうだったからだ。)

(聞くと紫苑は、顔を上げ。 うんうんと、強く頷いた。)



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