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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-3


「とくに、好きという気持ちにはね。」

「でなければ、大好きな人と出会えなくなる。」

「ママは、パパのことが大好きだったから。」

「紫苑や蒲公英とも出会えた。」

『瑠衣と千歳も。』

(桜は遠い昔に思いを馳せ。 そっと、新しく仕立てた紺色の浴衣に、手を触れた。)

「そう、夏樹くんにもね。」

(頷くことが出来ずに、紫苑は静かに瞬いた。)

***

「よっ! お待たせっ。」

(日が沈み始めた、snow dropの前。 やって来た駆とソラに、
待ち構えていた。 佐織は、ビシッと指をさして、言い放った。)

「遅い〜っ!」

「二人ともっ。 気合いが足りないんだからっ!」

(佐織は、先程まで参加していた。 剣道部の後輩に、叱るのと同じ調子で、
片手を腰にやり。 ぐいぐい駆に詰め寄ったが。)

(駆が応戦した。)

「おまえっ、そんな綺麗な格好しても。 品のなさは変わらね〜なっ。」

「竹刀握ってる方が似合うんじゃね〜かぁ?///」



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