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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-38


(夏樹は胸元に手をやった。 一瞬立ち止り、息を飲む。)

「ん・・ん。」

(痛む胸元に、わずかに息を吸い込んだ。)

「・・はぁ。」

「夏樹くん?」

(紫苑は瞬き、夏樹を見上げ。 夏樹は、すぐに笑顔になり。 微笑んだ。)

「蒲公英ちゃんは? 桜さんと来るの?」

「あっ/// うん。 そう。」

「数馬くんと会うの、楽しみにしてるって。」

「そっか。」

(夏樹は微笑んだ。)

***

(賑やかな門前通りへと続く。 鳥居の前は、人混みで賑わいはじめていた。)

(小さな下駄の音を鳴らし。 蒲公英は、桜に手を引かれ。
石段の階段を、上り始めた。)

「ママーっ。 たんぽぽ、きんぎょすくいする〜っ。」

「いいわよ。 楽しみね。」

(鳥居の前に立つ、小さな人影を見つけ。 蒲公英は嬉しくて飛び上がった。)



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