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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-15


「セナに見つかったら。 また、ドラゴンの巣の上に、落っことされるぜっ。」

(振り向いたソラの胸元には、普段見かけない。 立派な飾りが掛けられ。
白い服の肩には、二つの樹が絡み合い、伸びて行くさまを描いた王家の紋章が。
輝いていた。)

『ソラ・・。』

『ああ、きっと。 異世界に。 エアリエル国にいたころのっ、記憶・・。』

(ソラはいつもの様に、まるで、悪戯をたくらむ少年の様な眼差しで。 ニッと
微笑んだ。)

(だが、いつも街へ下りてきて。 子供たちと遊んでいる時と違い。
正装に袖を通し。 美しく、水色の髪が整う様子は。 別人のように見え。)

(ミイの心に寂しさが込み上げた。)

タッタッ・・

「これ。 これだよ。 ミイがほしいって言ってた。 魔石の飾り。」

(なんとか人混みを掻きわけると。 ソラはミイを、一つの装飾屋の前で、呼び止めた。)

「なっ/// 何っ/// そのために、ぬけ出してきたの〜っ?;」

「も〜うっ///;」

(嬉しい反面。 ソラが、その飾りの深い意味を知らないだろうことを、
わかっていたので。 満面の笑みで、アクセサリーを手にするソラに。 ミイは
照れながら、聞いてみた。)

「その飾りの、意味知ってる?」

「・・意味?」



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