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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-18


“ミイ・・。”

“それ。 そのペンダント・・。”

(黒い気流の壁の向こうで、ソラはミイに語りかけた。)

「えっ?」

(ミイは、風の向こうで聞き取れない。 ソラの声に耳を傾けた。)

“誓うよ。”

“永遠に。 君と。 生きる。”

ゴォォォォーッ

(強い風の向こうで、ソラはそう言って笑った。)

(突然に、叶った出来ごとに。 ミイは驚き、声にならず口を開いた。)

(それは、幼い頃から夢見ていた。 この国の子供達に伝わる、小さなおまじない。
魔法でもなんでもない、ただのおまじないだ。)

『花祭りの日にね。 ペンダントを贈りあって、誓うの。』

『ずっと、2人でいるって。 そうすると、願いが叶うんだって。』

『ソラと・・。 そう、出来たらいいのに・・。 あの時、ずっとそう思ってた・・。』

(永久の別れだと思ったその日、ソラは。 ミイの小さな願いを叶えた。)

“なんで、巫女になるなんて。 決めたんだよ。”

“お前は、ぜんぜんっ、わかってねー。”

“王室専属巫女になれば、一緒にいられるって?”



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