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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-25


「きゃっ///;;」

(にこにこついて行った蒲公英は、ど〜んと目の前に現れた、
巨大なお化け屋敷の大看板のイラストと。 入口と書かれたカーテンの向こうから。
聞こえてくる効果音に。 早くも震えあがり、数馬の腕に。 両手でしがみついた。)

「こんばんは。

蒲公英さん。 待っていましたよ。」

「一緒に遊びましょう。」

(善は、黒い瞳を光らせ。 笑顔で蒲公英を迎えた。)

「あいにくっ! たんぽぽは、お化けが嫌いなんだっ。」

「行くぞ、たんぽぽ。」

(数馬は、蒲公英の手を引き、善に背を向けた。)

「・・あなたが。 怖いんじゃないですか?」

(言われて、数馬は振り返った。)

「なんだって? もう一度言ってみろよ。」

「くっくっ。 どうして、そんなに僕を避けるんですか?」

「なにか、あなたの気に触ることをしたか・・なぁ? くっくっ。」

「FOTを探ってるのは、お前のほうだろぅっ! オレは、知ってるんだからなっ!」

「僕は・・、仲良くなりたいだけですよ。」

(そう言った善の顔は、氷の様に冷たい表情で。 底無しの、黒い瞳が。
刺す様に冷やかに数馬を睨んだ。)



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