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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-28


大人の女性のように、妖艶な。 眼差しで、善を見つめた。)

「・・あいつが。

近づくまで。 少し待とう。」

「楽しみは。 それからですよ。」

***

「痛っ。」

(紫苑は、小さな声を上げ。 夏樹の隣で立ち止ると、
足元を見た。)

「どうしたの?」

(夏樹は振り向き、心配そうな瞳で。 足元を見た。)

「/// へいきっ。」

「何。 ちょっと、見せて。」

(しゃがみ込み、夏樹が冷やりとする手で。 右足首に触れたので、
紫苑は思わず、身を引きながら。 冷たい感覚と、
ドキドキに、胸を高鳴らせた。)

「・・くじいたのかな?」

「だっ、大丈夫っ/// 歩けるものっ。」

(慣れない下駄に、どこかでつまづいてしまったが。
中断したくなくて、紫苑はがまんしていた。)

「がまんしないで。」



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