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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-3


(佐織はあきれて、たしかに自分より背の高い。 日焼けして、凛々しい
駆の頬が。 嬉しそうに笑うのを、横目で見た。)

「!/// うわ〜んっ!///;;」

(海里はショックを受けて、泣きながら。 その場から駆けて行った。)

「ちょっ!/// 海里っ? 泣かしてどうすんのよっ。」

「わりっ、けど。 ちょっと、優越感な。」

「はぁ?///」

(佐織は、振り返って間近に見た。 駆の瞳が真剣だったので。
意外な気持ちになり、どぎまぎした。)

(駆もまた、そっぽを向きながら。 夏の夜の、人の熱気の暑さのせいか。
頬を赤らめ、うちわであおぎながら、友人たちを見守る佐織の横顔に
惚れ惚れした。)

(青い生地に、鮮やかなアサガオが描かれた浴衣。 いつもなら長いストレートの髪は、
美しく結われ。 かんざしで留められている。 うなじに思わず見惚れ。
小さな後輩を思いやるより、つい嬉しさが勝ってしまった。)

***

(ピュアは、オレンジ色の屋台の明かりに照らされ。 光る水面を泳ぐ、小さな赤い
金魚を。 しゃがみ込んで、じっと見つめていた。)

「やってみたい? 金魚すくい。」

「はっ///v いいんですかっ! ソラさまっv」

(ソラは片隅に座る屋台のおやじさんに向かって、小銭を手渡した。)

「すんませ〜ん。 おじさんっ、6人分ね。」



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