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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-4


「ソラくん、優しい〜♪ ありがとっ。」

(千波が遠慮なく、金魚をすくうポイを受け取ったので。 夏樹は横目で見た。)

「千波ちゃん・・。」

「僕はいいよ。 ソラ。」

「やったことある?」

(聞かれて夏樹は瞬いた。)

「・・ないけど。」

「見て。」

(ソラはポイを持つと。 腕まくりして、そっと水面に浸した。 静かに水槽の角に
追い詰め、一匹すくい上げそうなところで。)

パシャシャッ

「あ〜;;」

「ふふっ/// ソラ下手くそっ。」

(紙は破れ、穴の空いたポイを、ソラは見つめ。 ミイは隣でしゃがみ込み、笑った。)

「(こほんっ) ピュアやりますですっv」

「《闇の力を秘めし鍵》よ。 《解き放て》《水の揺らめ・・》」

(ピュアはポイと、もう片方の手に。 可愛らしい魔法のステッキをにぎり、
真剣な瞳で水面を見つめながら。 クリーム色の長いまつ毛を瞬かせた。)

「うわっ!/// ピュアっ、ずるは無しだ。」



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