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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-35


「///そんなことっ!」

「くっくっ。 ほんとだよ。」

(夏樹は、笑いながら。 紫苑の隣、ベンチに腰掛けた。)

「両親も、待っている家族も居ない人もいる。

姿を見せれば、命に関わることもある。」

「数馬も・・、もともと父親が能力者だったけれど。 派閥の争いに巻き込まれて。

一族の中で、助け出せたのは、数馬だけだったって。 聖が言ってた。」

(初めて聞く話に、紫苑は真剣な表情で耳を傾けた。)

「葵さんは、御両親は普通の人だったって、聞いた。

でも、葵さんの持つ力を国が必要で。 国に譲り渡されたところを、

聖がFOTの方へ引き込んだらしい。」

「みんな、事情はそれぞれだけど。 僕のことを、羨ましいと

思っているかもしれないな。」

「こんな風に、みんなと一緒に、いられたことがないから。」

「紫苑さんのご家族には、本当に感謝してる。」

(夏樹は微笑み、紫苑は思い切って尋ねた。)

「夏樹くんの・・、ご両親は?」

(少し沈黙した後、夏樹は、静かに答えた。)



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