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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-36


「父親は、もともと居なかった。」

「母は・・。 闇と出会って、亡くなったんだ。」

(紫苑は知らずに、尋ねたことを後悔した。)

「・・! ごめんなさい・・っ」

「わたし・・っ。」

『・・・っ。』

(言葉にならず、紫苑は息を飲んで。 口元を覆った。)

(夏樹のことを、知りたいと思っているのは。 紛れも無く、紫苑の心だった。
けれど、不思議な魔力が。 紫苑の身体を支配し。 夏樹から、情報を、
引き出そうとしていた。)

「・・・っ///」

『どうしよう・・、きっと。 大切なこと。 誰にも言いたくなかった、

大切なことかもしれないのにっ。』

「ごめんなさい。」

「どうして、謝るの?」

「だから、僕は。 FOTを辞めないんだよ。」

「国が、何を考えているのかわからない。」

「もしかしたら、僕が原因かもしれない。」

「でも、僕は。 闇と向き合うことを辞めたくない。」



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