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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-38


「狐次郎・・。」

「こんな所で何してる?」

(狐次郎の恐ろしい風貌に店員は逃げ出し。 夏樹の前を遮って、店の半分を
破壊しながら。 狐次郎は、煙草を片手に。 さも面白いものを見るように見た。)

「よぅ、おめー。 いつから、甘党になった? ああ?」

「ひっひっ。 この前もよー。 ソフトクリーム屋の前で、会ったな〜。」

「奇遇だな。 俺は、甘いものが好きだからよっ。 ひっひっ。 食うか?」

「あ、いらねー? お嬢ちゃんにかよ。」

(狐次郎は、りんご飴屋の屋台の上に並んだ商品を、半分ほど、なぎ倒しながら。
ショーケースの上に、背をもたれかけ。 大きなりんご飴を一つ、掴むと。)

(大きな音を響かせ、飴ごとりんごをかじった。)

「(バリッ)(ポリッポリッ)・・、あのお嬢ちゃんは、やめとけや。」

「おめーは、正直すぎるんだよ。」

「命取りになるぜ。」

(言いながら狐次郎は、かじったりんご飴で。 夏樹の胸元を指し示した。)

「・・だから何。」

「僕は、お前みたいに。 嘘をついて生きていけない。」

「下手をすれば、僕も。 国に存在を抹消されるか?」

「それでも良いよ。 ・・僕が消えれば、闇も消えるか?」



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