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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-41


「これを、持って行け。 国の連中が、隠し続けている一人の能力者の

データよ。」

「狐次郎・・!」

「おめーが睨んだ通り。 奴ら、触れちゃ〜いけね〜領域に、触れやがった。」

(遠くで、覚えのある黒い気配が。 こちらを向いたのを、
夏樹は感じ取った。)

“ばかな人・・ですねぇ。”

“せっかく、そいつの場所へ連れて行ってやったのに・・。”

“どうして、欠片を・・。 僕へ持って来なかったんですか?”

(黒い気配を放つ、小さな少年は。 ニヤリと笑うと、
氷の様な、冷たい黒い瞳を見開いた。)

《闇の力を秘めし鍵》

《解き放て》

《氷の刃》

ゴワッ・・! ドシュッ・・

『!』

(それは、一瞬のことで、止める間はなかった。 能力を持つ者の交わす契約は、
特別なものであると、夏樹も知っていた。)

(力の強いものであればある程、代償は大きく。 第三者が割って入ることは出来ない。)

「ぐっ・・。」



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