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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-43
「・・狐次郎・・? ・・どうして・・。」
「ああ・・っ!」
(夏樹は膝をつき、狐次郎の背中に手をやった。 止血しようと押さえても、
どうすることも出来ない。)
「(ごほっ)・・ひっひっ・・。 持って・・行け・・。」
(赤く染まる狐次郎の手が、震える指先で。 小さなメモリーを
夏樹の白い手の中に押し込んだ。)
ズルッ・・
『・・・っ。』
「しけたつら・・してんじゃねー・・。」
(温かな感触を残し、狐次郎の触れた夏樹の手は。 同じ赤に染まった。)
ゴゴゴゴォォォォーッ
(狐次郎の倒れた背後に、何もないはずの中空に、紫の輝く魔法陣が姿を現した。)
『・・魔法陣・・!』
コワァッ
(同時に夏樹は、足元から風を湧き上がらせ。 魔法陣を生みだした人物が、
呪文を唱えるより早く、魔法陣の向こうへ。 強い風とともに、舞い上がり。
伸ばした手で、見えない人物の腕を掴み取ると。 逃がす間を与えず、
自分の創り出した結界の中へ、その者を引きこんだ。)
『・・逃がすか・・!』
バリバリバリッ ガシャーンッ・・!
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