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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-50


(放心していたピュアははっと、瞬き。 クリーム色の瞳でうなずくと。
小さな、魔法のステッキを取り出し。 呪文を唱えた。)

「《闇の力を秘めし鍵》よ。 我に力を。」

キュキュッ ポンッ!

(ステッキは、可愛らしい音を立て、大きな杖となった。)

「みんなを守ってくださいです〜っv」

「《解き放て》《虹のベール》」

キラキラキラッ

(輝く虹が、無数に現れ。 皆を包み込んだ。 駆は、佐織の腕をつかみ、
身をふせさせた。)

「佐織っ!」

【グオワァァァーッ】

バキッ ビシャビシャビシャッ・・! ザンッ・・ ボトボトッ

(ピュアの、美しい魔法のベールの向こうで。 黒い闇はのたうち、ソラが振り上げた
銀の大きな刃は。 闇の首をはね、鈍い音をたて。 その黒い身体は落下した。)

(虹色の壁を、黒い色彩が染めた。)

ドンッ

「・・・っ!」

(ミイは恐ろしさに顔をふせ。 赤茶色の瞳に浮かぶ涙を見て、佐織は、ベールの中で、
ミイを抱き寄せた。)



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