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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-57
「裏切り者の能力者など、何の役にたつ? こいつを雇っている大臣に、
恩を売りたいからなど。 本気で、信じる馬鹿がどこにいる。
聖の気まぐれにしか思えない。」
「光・・。 夏樹さんのお友達だからよ。」
(柔らかく、微笑む葵に、光は顔をしかめた。)
「なら、もっと早く助けてやれ。」
「聖さんが怒っていたのは、ほんとうだから。」
「ふぅ、わかった。 早く影で隠して。 結界が被れれば、人目につく。」
(葵は、狐次郎の背中あたりに、差し伸べた手に。 そっと、力を込め。
息を吹きかけた。)
「ふぅっ・・。」
(葵の吐息と共に。 薄紫の淡い、ベールの様な霧が。
その場所にたちこめる。)
シュワッ
(霧のベールは、オーロラの様に、紫に色彩を変えながら、
狐次郎の姿を。 影に隠した。)
「私が、影で隠すのは。 大切なものだけ・・。」
「この人も・・、守るべき人。」
***
「どこっ?」
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