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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-59


カランッ コロンッ

(紫苑は、立ち止まり、あたりを見渡し、声をかけた。)

「みんなっ!」

「夏樹くんっ。 ・・見えない壁。 結界・・? この向こうにいるの?」

(紫苑の立ち止まった、目の前に、異空間の壁があった。 不思議な気配に、
紫苑はその場で立ち止り。 何もない、通りの向こうに向かって。
明るい茶色の瞳を見開いた。)

***

「《闇の力を秘めし鍵》《解き放て》《次元の翼》・・!」

バサッ!

バリバリバリッ

バシャーンッ・・ ザババッ

(ソラは、無数に存在する。 異空間の結界の壁を、越える。 赤い翼を
背中に宿し、夏樹と気配の主。 そして、たくさんの闇達が追いかける先を、
砕け散る、結界の壁をぬって。 舞い上がった。)

キラキラキラッ

(割れた壁は、きらきらとソラの頬をかすめ。 光る水色の瞳の先で、
次の壁が、砕け散る音がした。)

ガシャーンッ・・!

「夏樹っ!」

(それは、恐ろしい光景だった。 夏樹は、気配の主を離そうとせず。



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