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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter92 『籠の中の世界(赤)』 92-7


(数馬は、冷やりとした夏樹の背中に、まだ貼り付きながら。
寂しそうな顔で、夏樹を見た。)

「もうお屋敷には、戻ってこないの?」

(夏樹は、蒲公英の面倒を見ながら。 数馬の言葉に振り返った。)

「そうだね。」

(深い紺色の瞳は、優しげに微笑んでいた。)

「聖に、もう会わないの?」

(聞かれて夏樹は、意外そうに笑った。)

「そんなことないよ。 どうして、数馬?」

「・・だってさ。 この頃様子が変なんだ。」

「夏っちゃんとオレが遊んだ話とかしてもさっ。 聞いてくれね〜んだもんっ。」

(夏樹は笑った。)

「くっくっ。 聖は、僕に怒ってるんだよ。」

「あの人、怒ってると。 口数少なくなるんだ。」

「数馬。 僕は、皆のそばから離れないよ。」

(数馬は、大きな茶色の瞳で瞬き。 夏樹の周りにいる。 外の世界の友人たちを、
見つめた。)

「だけど。 FOTの皆とも同じ気持ちでいる。」

「どれだけ早く、闇を無くすことが出来るか。 強い闇にも負けないか。」



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