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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-10


シャーッ キキッ

(学校からほど近い、住宅街へ続く道を。 1台の自転車が、白い外灯の下を
スピードを上げて走り抜けた。)

「みんな、家に戻ってたね。」

(ミイは、自転車の後ろの荷台にちょこんと腰かけながら。 ガードレール脇の坂道を、
勢い良く下っていく、ソラのこぐスピードに振り落とされないように。 大きな背中に、
ぎゅっとつかまった。)

「夏樹さん・・無事だよね。 ソラ。」

(火照った頬を、夜風が冷ますようだった。 ミイは、不安を打ち消したくて。
自転車をこいでいく、ソラの。 大きな背中に、後ろから頬をよせた。)

「FOT本部近くにあるっていう、病院に。 空間がつながったとたん。

俺らははじかれた。 ミイ。 さっき、菖蒲から。 俺のところに、

夏樹を見失ったって、メールが来た。」

「研究所ってところに、連れていかれたかもしれねーって。」

「お前はどう思う?」

(ミイは押し寄せる不安に、小さく身体を縮め。 背中からソラに、ぎゅっと
つかまった。)

「・・すごく遠くに。 強く光る。 壁みたいなものを感じるの・・。」

「本部があるっていう・・ところかな?」

「街全体を、何かから守っているみたい。 まるで、闇から・・。 この街を・・。」

「風見市を守っているみたいに。 でも、闇じゃない・・。 もっと強くて・・。」



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