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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-15


研究所の奥深く。 人の踏み入れない、古い研究棟に訪れたことを。)

(不気味に青い光源が光る、仄暗い廊下の先。 恐ろしい実験機器が埃を被り、
眠る。 多くの部屋が並んでいる場所。 かつて、研究所が。
時の欠片ではなく、能力者の能力開発を研究していたころの。 名残を思わせる
場所だ。)

(そこで、二人は、敵の手がかりになればと。 能力者たちの資料を持ち去った。)

(だが、それより奥に。 まだ、閉ざされ、入ったことのない地下への扉が。
続いていたのだ。)

『閉鎖室』

「・・夏樹さんのっ、ためですっ・・!///」

「夏樹さんの力に共鳴して・・っ、“時の欠片”がこんな反応を・・!///」

「このままでは、研究所に保管されている大切な“時の欠片”たちが

壊れてしまいますっ!///;」

(菖蒲は、静かに首を振った。)

「それが、何なんですか・・?」

「どちらが大事だと言うんです。」

「私が。 聖様のところへ参ります。」

(真紀をその場に残し、菖蒲は、踵を返した。
真紀はしゃがみ込みながら。 両手で口元を覆った。)

(翻り、遠ざかる黒の燕尾服の後ろ姿を見送りながら。 悲しみと興奮が入り混じり、
囁いた。)



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