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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-17


「・・くっ。 ついに、我々の悲願・・!」

「我々は・・っ! 『不死』を手に入れる・・っ!」

(興奮したその人物とは裏腹に、長い黒テーブルの端。 遠く向かい合って座る、
一人の男性は。 氷の様に冷やかに、鋭い視線を向けた。)

「・・我々は・・?」

「お前がの間違いだろう・・。 重役の大臣共はどうした?」

「なぜ呼び出さない・・。 石垣・・。」

「こんな息の詰まるところに、お前と対面では。」

「この僕も。 自分を抑えられそうにない。 くっくっくっ。」

(そう言いながら。 聖は、金の指輪が煌めく大きな手でまるで、
向かいに座る男性から漂う、邪気を。 払うかのように手を振り払った。)

「・・・。 奴らには、全体会議で伝えてやっただろう。」

「ついに、“時の欠片”の中に、“命の源”ともいえる物質を見出したのだからなっ!」

(石垣は、磨き上げられた黒いテーブルの上を両手で打った。)

(わなわなと震える骨ばった指先を、両手で握り。 小さくつぶやいた。)

「・・これで、助かる・・。」

「私に勝機が、廻って来たようだ。 どうだ、聖?」

「そろそろ我々も、休戦し。 祝杯をあげても、良い頃だ。」

(黒い柱の立ち並ぶ、重厚な官邸の地下室は。 重い空気が立ちこめ。
黒で統一された室内に、窓は無く。 頭上に白く灯る明かりだけが、闇に煙る辺りを、



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