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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-18


照らし出し。 聖の肩に流れる、美しい銀髪の、一筋一筋を眩しく光らせた。)

「さぁ? まだ、肝心な物を。 我々は手に入れていない。」

「“核”ね。」

(石垣の傍らで、静かに立っていた彩が。 一言つぶやいた。)

「夏樹くんの、“闇化”を待つしか、ないのかしら?」

「その可能性が、あるのかどうかも。 わからないけれど。」

(白衣に身を包み、両腕を組んだ彩の表情は硬く。 見上げる瞳の先は、
冷やかに。 聖に向けられた。)

「そうだね。」

(彩の態度が面白く、聖は思わずにやりと笑い。 横目で見た。)

「あるいはもっと、酷く負荷をかけて。」

「どうなるか見るかい?」

(聖の言葉に彩はカッとし。 美しいピアスを揺らし素早く聖を見た。)

「あの子が死ねば、“核”を取り出すことは出来ないのよ!」

「“核”とあの子は一心同体。」

「お互いが、お互いを、生かしている状態にある。

それが、わかっただけでも。 感謝してほしいわ。」

(彩は、美しくカールしたピンクに染まるポニーテールをなびかせ。 そっぽを向いた。)

「くすくすっ。 そうか。 僕はてっきり、君が。



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