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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-24


(紫苑は微笑み、小さなピンバッジを手に取った。 赤い一枚羽を象った
バッジには、小さな金色の文字で《Friend》と描かれていた。)

『これを持っていれば、中に入れるかもしれない。』

『それから、この子がいれば・・。 夏樹くんを見つけられるかも。』

「行くよっ。 ぴよ。」

(紫苑は室内に振り返り、さきほどまで横になっていた。
ベッドの上。 シーツの上に、羽根を休めている。 小さな可愛らしい
青い羽毛のひよこに呼びかけた。)

「ピヨッ」

(ぴよは目を覚まし。 一声鳴くと、その小さな足で。 床を走り、
信じられないことに、小さな羽根で。 ぱたぱたと舞いあがり、紫苑の肩に
着地した。)

「ぴよ・・。」

『・・悲しい出来事もね。 意味があることだから。』

『きっと、いつか先に起こる、幸せに繋がっているから。』

『信じても良いの。 幸せなことは、必ず起こるから。』

(紫苑は瞬き。 ぴよを見た。 機械仕掛けのぴよは。 小さな嘴を開き、
いつの日か、風の丘草原に出かけた日に。 夏樹が吹き込んだ伝言を、
再生させた。)

「ピヨッ ピヨッ・・」

[「すぐ帰る。」]



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