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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-27


「あの場にいて。 生き残ったのは夏樹だけだ。」

「それもそのはずだ。 粒樹が彼を選び、守ったのだからな。」

「彩。 君が証明したように。 “核”は、夏樹の中に眠る、

粒樹自身そのもの。 粒樹の“心臓部”。」

「それが、夏樹を生かしているんだ。」

「良い場所に、隠したな?」

「闇を恐れる罪深きお前たちに、触れさせないためだろう。」

『“粒樹”の消えた日・・。 僕は初めて、“夏樹”に出会った。』

『“粒樹”・・。』

『君が、夏樹を助けたのか?』

『“粒樹”の面影を呼び覚ます、小さな夏樹の胸に・・。』

『“闇”を生みだす。 巨大な“時の欠片”を残して。』

『“欠片”には、生きていた痕跡があった。』

『やはり、君なんだね。 “粒樹”・・。』

(石垣は、苦虫を噛み潰す顔で、聖を睨んだ。)

「かつての過ちについて。 国家とお前は同罪だ。」

「契約を忘れたのか? お前は国の犯した罪を黙認する。 そして、

あの忌まわしい子供を監視すると。 その代わり、我々は、お前の罪を許した。」



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