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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-3


(葵は、薄紫の瞳で、瞬きした。)

「まぁ、あなたが・・?」

「ずいぶん小さな魔法使いさんね。」

「いけない子・・。」

「どうして、夏樹さんを追いかけるの?」

(葵の前には、小さな少年が立っていた。 善は、姿を隠すことも忘れ、
ただ、目の前の葵を見つめ返した。)

「・・っ、リザ・・っ!」

「・・っ、君が・・っ、僕を・・見ないからだよ・・・。」

(見開かれた大きな黒い瞳からは、いつの間にか。
大粒の涙が、こぼれ落ちていた。)

「そうやって・・。 俺を・・見て・・。 リザ・・。」

(善は、小さな両腕を力一杯伸ばし。 見上げるほど、身長差のある葵を、
抱き寄せた。 葵は一瞬驚き、小さな善の目線で。 その艶やかな黒髪を撫でた。)

「けして叶えられない“目的”が。 あなたを終わらせない。」

「そうなのね?」

(葵の声に、気配の主は、耳をそばだてた。)

【・・何・・?】

「あの人と・・、良く似ている・・。」



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