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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-4


【俺は・・、願いを叶える・・。 お前を取り戻してみせる・・。】

【“欠片”は・・、ガラスの入れ物に過ぎない・・。】

【眠るお前の力・・、“鍵”さえ手に入れば・・、それで良い・・。】

【反逆者の王の代わりに・・、追放されたお前の・・。】

【虐げられた“闇の力”・・。 その力で、まやかしの“光”に沸くあの国を

滅ぼしてやろう・・。】

【・・、王を失くしたあの国が・・、滅びるのは時間の問題だ・・。】

【くっくっくっ・・。 リザ・・、この世界に。 お前の力を示せ・・。】

【あいつの選んだ、この汚らわしい地上を・・。】

【俺と・・、終わりにしようじゃないか・・? なぁ・・。】

【くっくっくっ・・、あっはっはっはっ!】

(まるで、姿の見えない者の発する、笑い声が。 海を渡って行くようだった。
それとうらはらに。 葵の腕の中で、小さな少年は、まだ。 涙し続けていた。)

(黒い瞳は、無感情に見開かれ。 ただ、透明な涙の雫が、とめどなく溢れて。
小さな頬を伝い流れた。)

「うっ・・うっ・・、・・っ。」

(葵は、静かに、少年を撫でつづけた。)

「・・、名前を・・聞かせて。」

(少年は、そっと囁いた。)



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