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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-55


ガッ バリバリバリッ・・!

「ああああっ!」

『・・っ、このっ!』

「・・させるか。」

(ソラは、その者を引き離そうと、抵抗しながら。 痛みに耐え、
背後にゆっくりと顔を向けた。)

「・・《解き放て》」

(呪文を唱える瞬間。 ソラはその人を見た。
真っ白なスーツに揺れる銀髪。 黄金色の瞳が、眩しい輝きを放ち。
見えないはずのソラを、強い瞳で捉えていた。)

「・・また会おう。」

(金色の瞳は微笑んだ。)

「《鉄の楔》」

バッ・・ゴワァッ!

(水色に輝く魔法陣が、聖の目の前で展開した。)

(魔法陣から放たれた、無数の鉄の刃が、異空間の向こうに消えて行く。 白いスーツの
人物を追ったが、その人物は、笑顔を残し。 消えてしまった。)

「・・二度と、ごめんだっ!」

(ソラは魔法陣の向こうに消えて行く姿を見送りながら、傷んだ羽根で飛び立った。
その場には、白いスーツの人物から漂う。 バラの香りがまだ消えなかった。)



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