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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter93 『覚悟』 93-58
『俺はまた少し。 失った遠い記憶を、思い出しはじめていた。』
ゴオォォォォーッ
(黒い流れが、皆を包み込んだ。)
『《鍵を・・。 壊すのは困難じゃ・・。》』
『・・そうだ。』
(ソラは目を閉じながら。 気流に身を任せ。 ミイの手を、握り返した。)
「ああ・・、帰れる。」
『婆の・・、大巫女の、言う通りだな。』
コオォォォーッ
「・・・っ。」
(紫苑は、離さぬように。 強くもまれる異空間通路の流れの中で。
夏樹の身体を抱きしめた。)
『夏樹くん・・。』
(一層冷たい体温が。 緊張する紫苑に伝わり。
紫苑は、とてもその腕を離せなかった。 投げ出された白い腕。 凍り付くような
その胸元に。 紫苑はそっと、耳をよせた。)
『無事でいて・・。』
『わたしが・・、守るからね。』
トクンッ トクンッ
(夏樹の胸は、静かに鼓動し。 頬をよせる紫苑を、安心させた。)
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