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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter94 『薄雲』 94-12
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「はっ。」
(夏樹は、目を覚まし。 夢はそこまでだった。
夢に現れる少女の姿は、リアルで。 日に日に、まるで、触れられる様に。
夏樹の中で、存在感を増してゆくようだ。)
「夏樹様。 ご気分はいかがですか?」
「お水をお持ち致しました。」
(気にかかり、側に寄った菖蒲の顔を、夏樹は見上げた。)
「うん。 ありがと。」
(雪の中を歩いていると錯覚する夢と、室内の温度に戸惑いながら。
気を取り直そうと、夏樹は瞬き。 わずかに汗ばむ、深い紺色の前髪を
払った。)
(身体を起こし、水滴の滴る冷たい水に、手をやりながら。
日が落ち始めた夏の空を映す窓に視線を向けた。)
「駆たち、来た?」
「え、はい。」
「ですが・・、夏樹様。」
「昨日の今日です、できれば。 ゆっくりと、休んでいて
頂きたいのですが・・。」
(菖蒲は、夏樹の側に、着替えを用意しながら。 苦笑した。)
「じっとしてるより良いから。」
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