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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter94 『薄雲』 94-14


(複雑な気持ちで、見つめる夏樹の、深い紺色の瞳の中に。
鮮やかな翼と、金色に回転する鍵が映った。)

シュンッ・・

(画面が消えると、そこには、
狐次郎から手渡された、機密のデータが。 映し出されていた。)

「これが・・。」

「この人が・・。

手がかりに違いない。」

(そこに書かれているのは、文字データしかなかった。
だが、なぜか同時に。
夏樹の脳裏に。 先程の夢の中で見た、少女の姿が、
消えなかった。)

***

「で、夏樹は無事なのか?」

(広い1階のリビングの椅子に腰かけながら。
肘をつき、冷たいグラスを片手に。 駆は、大きなテーブルの向こうへ。
カウンターキッチンの向こうにいる、女子たちに向かって、声をかけた。)

「うん、それは・・。」

(ミイが答えようと、身を乗り出したところで。 長身のソラが行き先をふさぎ、
夕食の準備に、人数分のガラスの皿を抱えながら。 小声でミイを止めた。)

「あそこで聞いたことは、俺らの中に仕舞っておこう。」

「ミイ。 紫苑ちゃんやみんなに、あいつは余計な心配かけたくないから。」



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