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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter94 『薄雲』 94-2


『snow dropに戻れるはずがない。』

『許されるはずがなかった・・それなのに、』

(夏樹は立ちあがり、窓際に置かれた、PCの側に行った。)

カタンッ

ピッ プツンッ・・

「ああ、ダメだ。 FOTからの回線が切られてる。」

「これはほんとに、聖を怒らせたかな?」

(苦笑しながら、夏樹は。 PC脇に置かれた、メモリーを見た。)

「狐次郎は、無事だろうか・・。」

「・・千波ちゃんは。」

(深い紺色の瞳が、静かに目を伏せ。 思い返した様に、
フローリングの床の上を、白い素足で、部屋を横切った。)

『どうして。』

(大きな姿見の前に立つと、紺色の髪を両手でたぐり、
はっきりとしない昨夜の意識の中で。 起こった出来事に、自身が弱気を見せていないか。
鏡に映る自分を睨んだ。)

「会って、話さないといけないな。 聖と。」

(そういうと、夏樹は微笑んだ。 鏡の中の自分は、相変わらずで、
複雑な気持ちになったが、そこに千波の笑顔を見た気がした。 誰かが着替えさせくれた
らしい。 パジャマを脱ぎながら、夏樹は手早く着替え。 階下へ向かって、
階段を下りた。)



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