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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter94 『薄雲』 94-4


「ああっ、良かったな!」

(ソラは勢い良く立ち上がり、夏樹の側に寄ると思わず両腕で、
ガシッと夏樹を抱きしめた。)

「・・! ははっ、ありがと。」

(夏樹は苦笑しながら、ソラが夏樹の安否を確かめ。 ほっとし、
なかなかその腕を放さないので、どうしたらいいものか。 その場に固まった。)

「どうなることかと思った・・。」

「お前はぜんぜん目を覚まさねーし、俺らも。」

「あやうくFOTに消されるところだぜ。」

「え?」

(聞いて、紺色の瞳が瞬いた。)

「あれ、たぶんお前の親父だろ。」

「何あの力、ぺちゃんこに押しつぶされるかと思った。」

(言いながら、ソラがくすくす笑ったので。 夏樹はあきれた。)

「・・。 まさか、聖と戦ったの?」

「・・、よく。 死ななかったね。」

(今度は、夏樹が、ソラの安否を気遣う番だった。)

(感心したように、瞳を見開き。 まじまじと自分を見上げる白い頬に、
ソラは手をあてた。)

「少しの間は、じっとしてろよ。」



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