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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-12


「・・。 君は、あいつの属する。 FOTの本部へ入れる、鍵さえも。

手に入れた・・。」

カチッ

(少年の、細い指先が。 紫苑の制服の。 胸元に留めた、
小さな赤い羽根のピンバッジに触れた。)

『・・・っ。』

「・・F・O・T・・ねぇ。 くだらねぇ・・っ!」

「とっとと・・、俺に・・っ! “鍵”の在り処の情報を・・っ! 持ってこい・・!」

『・・っ!』

(荒げた少年の声に、紫苑は満身の力を込め。 抵抗し、
身体を動かすと。 鋭い視線で、少年を見た。)

「・・っ。 知らないわっ。」

「もし、知っていても・・っ。 あなたには、ぜったいに・・。」

「教えない・・!」

「わたしが・・っ、守るから・・っ!」

(力強く振り向いた紫苑の、明るいベージュ色の髪が。 強い意志を宿す、
紫苑の瞳の前で揺れた。)

「くっくっくっ。 良いでしょう。」

「僕に・・、いつまで抵抗できるか・・なぁ?」

(少年は、突然穏やかな表情に戻り、微笑むと。 えんぴつを握ったままの



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