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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-13


紫苑の手に。 自身の手を重ねた。)

「・・っ。」

(紫苑は、恐ろしさに身体をこわばらせた。 再び、強く。
魔力を注いだ少年の手が。 しっかりと、紫苑の手を掴み。
その手は、少年の思いのまま、動かされた。)

「・・知ってる?」

「この“闇の魔術”は・・。 相手を想えば想うほど・・。

より、強力になる・・。」

「僕の意のままに・・。 そう・・。 良い子だ・・。」

「君の・・手を・・。 僕に貸せ・・!」

(えんぴつを握った紫苑の手は、目の前に、形を成しはじめた。
キャンバスの上に描かれた、夏樹の肖像に向かって。 振り上げられた。)

「きゃぁっ! やめて・・っ///」

ドッ・・

ビリッ・・! バキッ・・!

『・・っ!///』

カラカラカランッ・・

(紫苑は、恐ろしさに両手を離し。 涙を浮かべ、顔を覆った。)

「いや・・っ、誰か・・っ。」

(手を離れたえんぴつが、床の上にころがり。 紫苑は顔を覆ったまま、目を閉じた。)



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