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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-16


(聞いて、紫苑は不安になった。
時間には送って行くと。 今朝、菖蒲が言っていたからだ。)

「また、どこかへ行っていたらどうしよう・・。」

(紫苑は回復しだした夏樹が、またFOTに戻ったのではないかと。 案じた。)

「おい。」

「何かあんなら。 俺に話せよ。」

「幼馴染なんだからよ。」

(涼はもっと、言いたい思いがあったが。 こらえ、それだけ言った。)

「うん。 ありがと。」

(だが、紫苑は。 別のことに気を取られている様で。
自分のことを見ていないと、涼にはわかった。)

ガララッ トットッ

「(チッ)・・。 んだよ。 はぁ・・、ったく。」

「んで、泣いてんだよ・・っ。」

「ムカつく・・っ!」

ガンッ・・!

(涼は、苛立つ思いで力任せに。 紫苑の去った、美術室のドアを殴った。)

『「夏樹くん・・っ。」』

(涼の脳裏に、振り返り、名を呼ぶ。 紫苑の顔が離れなかった。)



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