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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-19


***

「で、この二人は。 どうしたのかしら?」

(佐織は、心配する表情で、そっと。 窓際に並ぶ。
空席の机を指差した。)

「雨宮さん。 補習には出れているんですって。」

「うん。」

(佐織は僅かに微笑み。 案ずるように、空席を見つめた。)

「良かった。」

「心配させたくないからって。 詳しいことは、ソラくんも

話してくれないの。」

「水くさいって。 駆は怒ってたけど。」

「駆も戦場を見ているから・・。 自分がどうこう出来ることじゃないってことも。

わかってる。」

「何で。 普通の高校生が、そんなことしなきゃいけないのかしらね?」

「雨宮くんはね。 普通よ。」

(佐織の言葉に。 チイは耳を傾け。 うなずいた。)

「至って普通・・。 ちょっと、他の人と得意なことが違うってだけで。」

「ああいうことには、向いてないって思うの。」

(佐織は、紫苑のためにも。 FOTを辞めることはできないものかと。



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