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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-49


ゴワッ・・!

(混乱する、ソラの目の前を。 涼しげな風が、通り過ぎた。)

(それは、一瞬のできごと。)

(やわらかに。 まるで、ソラに、声援を送るかのように。
そっと、温かに。 ソラの頬を撫でたかと思うと。)

サラサラサラ・・

バッ・・! ゴワッ・・! ゴゴゴゴゴーッ!

ドーーンッ・・

(ソラと、崩れゆく異空間。)

(砕けて行く破片。)

(全てを、包み込みながら。 優しく、強く。
支え守った。)

「・・! 夏樹・・っ!」

(その風は、まぎれもなく、夏樹のものだった。)

(ソラの心は、勇気づけられる温かな想いにふるえ。 不思議な力が、
みなぎる様な気がした。)

「・・・っ///」

(ソラの顔に、思わず笑顔が浮かんだ。 だが、ぼやける視界の向こうで、
紺色の制服に身を包む。 夏樹の、細いシルエットが浮かび。
ソラは腕に力を込めた。)

「壊されて・・っ! たまるかよっ!」



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