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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-53


「ん・・。」

(夏樹はそっと、身体を起こした。)

「ああっ。 ・・はぁ。 はぁっ。」

「・・っ。」

(割れた、窓ガラスと。 外れたカーテンが、教室内に散乱していた。)

パリリッ カシャン・・

(うつむいた背中から、小さな破片が落ち。 夏樹は腕に触れた。)

(大した怪我はしていなかったが。 自身をガードしきれず、
窓ガラスが夏樹の腕を切っていた。)

ポッポッ・・

(足元に舞い落ちた、白いカーテンの上に。 赤い血痕が。
指先を伝い、おちた。)

『ああ・・、壊してしまった・・。』

(そこは、ちょうど。 夏樹の教室。 2-Aの教室だった。)

「・・・っ。」

『僕が、居たいと思う大切な場所の一つだ。』

(やるせない思いに、夏樹は唇を噛んだ。)

『・・。 本当の。

世界を壊してしまったのは・・。 初めてだ。』



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