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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-58


「気づかねーのか・・?」

「俺は・・、ずっと紫苑のことを見て来たんだ・・!」

「昨日今日。 ここへ来た・・。」

「お前なんかに・・っ。」

「お前なんかに・・!」

(せきを切って、流れ出る。 想いに、夏樹をつかむ、
涼の手が怒りを込め。 強く震えていた。)

『!』

(夏樹は驚き。 深い紺色の瞳で涼を見た。)

「くそっ・・。」

「・・涼。」

(深い紺色の瞳は。 怒りでも憎しみでもない。
ただ、悲しみを帯びて。 静かに、揺れていた。)

「迷惑なんだよっ・・。」

「休み中は、顔見なくていいから。

せいせいしてたってのに。」

(自分がぶつけた怒りを、同じように返して来ない夏樹に。
涼は、両腕の力をなくし。 悔しさに、肩を震わせた。)

「見てろよ。 雨宮。」

「お前の正体・・、暴いてやるからなっ・・。」



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