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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-7


「ああっ、おい。 ミイ、待て。

後ろに乗れ。」

「歩きじゃ間にあわねーって。」

(ソラは、走って行こうとするミイを呼びとめ、自転車の後ろをぽんと手で示した。)

「うんっ///」

(自転車に飛び乗り。 ソラの背中につかまった。
青空と白い雲。 ぎらぎらと太陽が照りつける空の下。)

(大きなソラの背中は、夏の匂いがした。)

ジリジリジリジリッ

ミーンミンミンミーンッ

(セミの声が響き。 太陽を反射する路面が。 眩しく光っていた。)

チリリリンッ

(学校を目指し、スピードを上げて、角を曲がり。 風見ヶ丘をのぼって行く。
一台の自転車を。
反対の通りから。 静かに見つめている人影があった。)

サワサワサワサワッ・・

(相変わらず、街を吹き抜ける風は。 爽やかに、深い緑の木々の葉をゆらし。
その者の頬を、撫でた。)

「(チッ)・・。」

「“闇の魔術”を使って・・。 クロエの侵入を防いだか・・。」



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