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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter95 『強く』 95-8


「くすくすっ。 なかなかですね・・。」

「どうやらあちらにも。 “闇の魔術”を操れる者が居る様だ・・。」

(木陰の下に立つのは、小さな少年だった。)

(細く、艶やかな黒髪が。 伏した目の上にかかる。)

「ニャー」

(少年は、黒い子猫を抱いていた。)

「少し・・、好い気になっているんじゃないか・・。 なぁ・・?」

「僕が。 大人しくしているものだから・・。」

「ちっぽけな・・“欠片”に群がる・・、汚い・・馬鹿共が・・。」

(小さな指先は、艶やかな毛並みの。 猫の喉を撫でた。)

「ニュー・・」

「闇の魔女から教えを請うた・・。 この僕の・・。」

「力・・。 見せてやろうか・・?」

「くっくっくっ。」

(笑う少年の目が、大きく見開かれた。 光の無いその瞳は。
黒く。 底知れぬ深さを持ち爛々と輝き。 引きつる口元に対し、
冷やかに、強い怒りをにじませた。)

「“鍵”の在り処さえわかれば・・っ。 すぐに殺してやるものを・・っ!」

「・・。 風が・・っ、うぜぇ・・! 鳥肌が・・立つ・・っ!」



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