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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-10


「予想していなかった・・。」

「もっと、傍にいるべきだったね。 もっと傍で、顔を見ていたい。」

(金色の瞳はゆらめいた。)

「“欠片”を見つけることは、僕には困難なことなんだ・・。」

「だって、そうだろう? “欠片”は彼女の一部だ。」

「こんな破片になってしまったと。 僕は見つけるたび確認するんだ。」

(橘は、制止したかった。 だが、出来ずに。 目を伏せた。)

「・・聖様・・。」

(聖の瞳は、穏やかに微笑んでいた。)

「そして、彼女をそんな姿にしたのは、僕なんだと。 思い知らされる。」

『終わりにしたい。』

『苦しい。』

「けれど。」

「夏樹を見ているとね・・。 そういう気持ちを忘れるんだよ。」

「くすくすっ。 不思議とね。」

「僕がFOTを始めたことに。 意味があると、彼が教えてくれる。」

「機密組織なんて、誰も知らないことだからね。」

「メンバーを家族同然に。 守っているなんて、皆がそう思ってくれているだけで、



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