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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-16


(そう言って千波は。 彩り鮮やかに、美味しそうに盛りつけ、ラップに包まれた
料理の皿を。 そっと、冷蔵庫の中に仕舞った。)

「千波さま・・っ。」

「ん?」

(冷蔵庫のドアを閉めた千波の背中に。 メイは声をかけた。)

『夏樹さまに、戻って来てもらいましょう。』

『でないと、FOTはダメになってしまいますっ。』

『メイは。 そう、千波さまに言うべきです。』

「いえ。 おやすみなさいませ。」

(千波は、夏樹を呼び戻さないと決めていた。 メイは、千波の意思をくまないわけには
いかなかった。 でも、本当に、千波が今望んでいることではないだろうか。)

(本部や屋敷に、夏樹が近付くことが。 夏樹を危険にさらすことなら、
望んではいけない。 望んではいけないが、メイ自身が。 会いたかった。)

「・・。 千波さま・・。」

「くすっ。 どうしたのよ、メイちゃんv」

「ああ、困ったわね。 この子は・・。」

(千波は、メイのそばにより。 そっと、両手で、メイの頬を覆い。
笑顔で、そのおでこに。 自分のおでこをつけた。)

「スマイルv スマイルv 笑ってメイちゃんv」

「よしよし。 どこか故障しちゃったかな?v」



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