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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-17


「っひっく///! ふえ〜ん・・っ///;;」

(メイは、ぽろぽろと、涙をこぼしていた。)

「もうもうっ。 この子は、アンドロイドなのに、どうして泣くかなv」

「聖と静乃ちゃんが創ったんだものねv」

「ほんとに・・、よく出来てるv 可愛い子。」

「いいこ。 いいこv」

(千波はポケットから出した可愛らしい花柄のハンカチで。 メイの涙としてこぼれる、
水滴をぬぐった。 メイの泣き顔は、千波の心をふるわせたが。
千波は、メイに。 輝く笑顔で、笑いかけた。)

***

「ほんとね。 夏樹がいないと。」

「夜がもっと、静かに感じるわ。」

(そっと、2階への階段を、上りながら。 千波は、木製の太い手すりに手を掛け。
階上を、温かに灯す。 オレンジ色のランプの明かりを見た。)

キシッ

(深い、焦げ茶色の手すりと階段は。 足音にきしみ。 赤い絨毯と、白壁の美しい
古い洋館は。 千波が管理するには、広すぎるくらいだった。)

「・・ふぅ。」

(オレンジ色の明かりが、通り過ぎる千波の短い髪先と。 髪に留めた、小さな、
四つ葉のクローバーの髪飾りを。 きらりと輝かせた。)



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