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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter96 『求めるもの』 96-23
「驚かせたかい? ごめんね、千波ちゃん。」
「くっくっくっ。」
「悪い夢を、見ただけだよ。」
(聖はそう言って、千波を抑えていた腕を放し。 そっと、
千波から身体を離した。)
『僕は、何を求めようとした?』
『こんな小さな子供に。 僕を受けとめられるものか。』
『能力者が人を愛せば、どうなるか。』
『僕はもう、結末を見た。』
『死人は、二度と出すまい。』
(思い返した聖は、自分自身に笑った。)
「あなたは、少し不器用なだけよ。」
(部屋を出ようと、背を向けた眩い白いスーツの後ろ姿に。
千波は声をかけた。)
「可能性を、捨てていないから。 信じているから。」
「夏樹を外の世界へ向けたのでしょう。」
「そうしてもいいはずだって。 あなたはわかっているのよ。」
(千波は臆さず。 まるで、聖を叱るように。 両手を腰にあてると。
まっすぐに、金色の瞳を見上げて。 微笑み、明るく告げた。)
「聖。 過去に、どんなことがあっても良いの。」
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