HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-26


『元気にしたいって、思ったの。』

『だから、いつも願いを込めて、お料理を作った。

心を込めて、お洗濯して、お掃除して。』

『だって、わたしに出来るのはそのくらい。』

『夏樹みたいに、力になってあげることは、できないから。』

『でも、嬉しかった。

美味しいって、言ってもらえて。』

『ありがとうって、言ってもらえて。』

『いつの日からか笑ってくれたから。』

(千波は、一呼吸置き。 顔をあげて、笑顔になった。)

「・・。 そうね、今日は。 つくねとじゃが芋のスープv お豆腐粥にv」

「ふわふわ卵v」

『外に出れば、この人は敵ばかり。

いろんな人に、憎まれて。 恐れられて。』

『でも、わたしには。 ほっとした笑顔を見せて。』

(千波は、聖を案じ。 そっと、金の指輪の光るその手が触れていた。 写真の人物を
思い浮かべた。)

「悪くないでしょう?」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ